2019年2月19日(火)に2011年に開館して以来、初めてJR博多シティが全面休館(一部を除く)をしました。
いわゆる「働き方改革」の一環として実施されたものです!
これからの時代、働き方が大きく変化を遂げることになるのは間違いないことです。
そこで、今日はこの働き方改革を取り上げてお話ししようと思います( ◠‿◠ )
そもそも働き方改革とはなんぞや?
私も言葉だけはニュースなどでよく目にするので知っています。
しかし、実際どのようなことを考え方として持っているのかよくわかっていませんでした∑(゚Д゚)
ちょうど、JR博多シティの全面休館で話題になったのが気になったので、自分なりに調べてみました。
2019年4月、もうまもなく「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が施行されます!
この法律によって定められた内容に基づき、様々な法改正や施策の実施がおこなわれます。
今後の私たちの働き方に大きな影響を及ぼすこの働き方改革について、もう少し詳しくお話ししてみます。
ポイント①:国民全てが活躍する社会の実現を目指す
現在の日本の総理大臣、安倍首相が2016年に「一億総活躍社会の実現」をスローガンに改革を推進し始めたのものです。
働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。
どうしてこの改革が必要なのかといえば、次の理由がもっとも大きいといえます。
・少子高齢化の影響を受けて、日本の労働力人口は予想以上に減り続けているため。
要は、労働力の主力となる生産年齢人口(15〜64歳)が毎年想定以上に減っていることが問題だからです。
そのため、企業・商店など規模を問わず働いて欲しい人材が不足しているのがほとんどです。
ここ福岡でも、コンビニの店員さんの多くは外国人の方が多いですし、最近ではスーパーでもレジ係で外国人の方を見かけることも増えてきました。
日本の人口は2019年2月1日現在の推計で、126,330,000人となっています。
今後はこの総人口も2050年には90,000,000人を割り込むと見込まれています。
あと30年もすれば、30,000,000人以上人口が減ってしまうということです。
なおかつ問題なのは、労働人口の中心となる若い世代の方がどんどん減っていることも挙げられます。
このように、働き手がどんどん減る一方、仕事そのものがどんどん減っていくわけではありません。
もちろん、これからの時代は10年後になくなる仕事や形態がずいぶん変わった働き方が訪れることは間違いありません。
そこで、働き方改革では次の3つの対応策で、労働力の不足を解消しようと考えられています。
・働き手を増やす(労働に参加していない女性や高齢者の登用)
・出生率をあげて労働人口の減少に歯止めをかける
・労働生産性を上げる
この労働力不足を解消するために、国民全てが活躍する社会の実現が必要だという考え方が働き方改革の根底にあるのです。
ポイント②:働き方改革の3つの政策
働き方改革では、次の3つの課題があるといわれています。
・長時間労働の是正
・正規雇用労働者と非正規雇用労働者の格差の是正
・高齢者の就労促進(労働力不足の解消)
そこで、政策としてそれぞれの課題を解消するよう法律を定めているのです。
これからその内容をご紹介しようと思うのですが、なにせ法律に関する言葉は堅苦しくて意味がわかりにくいです!∑(゚Д゚)
なるべく、私でもわかるレベルに解説して欲しいと国に言いたいところです( *`ω´)
頑張って解説できればと思います。
I 長時間労働の是正
ア.時間外労働の上限規制の導入
・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満 (休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
時間外労働を法律によって上限を定めることで抑制を図ります。
ここで、労使間で見直しが必要なのが36協定といわれる労使の協定です。
労働組合に携わった人や総務関係に関わった人であれば、よく聞く言葉ですが、私も初めて聞いたときは「なんだこれ?」と思いました。
わかりやすく書いてあったのを抜粋しましたので参考にしてください。
36協定(サブロクキョウテイ)とは,使用者と,労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は,労働者の過半数を代表する「過半数代表者」)との間で結ばれる,労働時間を延長したり,休日労働をさせることのできる協定のことをいいます。
労働基準法第36条に定められていることから,このようにネーミングされました。36協定には,時間外,休日労働を必要とする理由のほか,業務の種類や労働者の数等を定めなければなりません。そして,協定を締結しただけでは足りず,これらを記載した書面を行政官庁に届け出る必要があります。
この36条協定を結ばずに時間外・休日労働をさせた場合,6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰に処せられることもあります。
36協定を結んでいれば,その範囲内で時間外,休日労働をさせても,刑事罰に問われることはなくなります。その反面,判例では,労働者に時間外,休日労働義務を負わせるためには,36協定のみでは足りず,就業規則等による時間外労働義務に関する定めが必要だとされています。
今後、この36協定を見直さなくてはいけないことがおわかりいただけたでしょうか?
イ.勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。
連続勤務の助長を防ぐことを目的として、勤務間のインターバルを必ず設けることです。
近年では、大型観光バスの事故など過重労働が原因とみられる事故で多くの犠牲者が発生したりしています。
こういった悲惨な事態を招かないよう、法律によって改めて告知しています。
ウ.産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。
労働者の健康を害さないよう、労働環境を整備することを目的としたものです。
労働安全衛生法(略称:安衛法)は、労働者の安全衛生を守るために定められた法律です。
この履行を確実に行うため、一定規模以上の企業では労働安全衛生管理者を設置する義務があります。
ちなみに、業種によって第1種と第2種に分かれているのですが、私は過去の勤務先の依頼もあって、第2種衛生管理者の資格を取得しました。
内容はもはやうろ覚えですが、例えば照明は天井からどのくらいの距離でどれくらいの明るさが必要かなど、結構細かく職場環境の整備を促す内容があるのを記憶しています。
II 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の格差の是正
この問題は、働き方改革というよりも、格差問題に端を発して近年絶えることのない話題のひとつです!
これからは、この問題も含めて貧富の格差が大きくなることが間違い無いといわれています∑(゚Д゚)
決して他人事ではない話なので、気になるところではあります。
ア.不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
短時間・有期雇用労働者に関する同一企業内における正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的 に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件※を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。また、これらの事項に関する ガイドラインの根拠規定を整備。 (※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等
単純に考えれば、派遣であろうと正社員であろうと同じ労働環境であれば待遇に差がつくことがあってはいけないということだといえます。
一番のポイントは、同じ労働業務であれば賃金格差をつけてはいけないという点です!
派遣の人が一番不満に思っていた点がここのはずですから!
イ.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。
ここもすごく大事な部分ではありますよね!
ブラック企業といわれるところがきっとよくやる手口が、口約束でおいしいことをいっておいて実際は全く条件が違ったってヤツです!
これでは困るので、待遇を明確に文書で示すことで、トラブルや不満の解消を促すことができると考えられます。
ウ.行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
アやイの説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。
企業と労働者間のみの対応では、解決できないケースも当然発生することが予想されるため、行政等を絡めて確実に問題解決をおこなうことを目的としています。
労働組合がない職場もありますし、自分一人で戦うには相手が大きすぎる時もあると思うので、こういった制度を活用しながら労働者としての権利を守ることも必要だと思います。
Ⅲ 高齢者の就労促進(労働力不足の解消)
現在わが国では、サラリーマンの定年年齢を65歳に引き上げる努力を企業に求めています。
その理由としては、公的年金の支給年齢がどんどん引き上げられることによる、収入の確保に対する対応が挙げられます。
しかし、仮に年金支給年齢が70歳になったらどうでしょう。65歳定年でも5年間は今までの貯蓄や財産、ならびに何がしかの収入方法をもとに生活していかなくてはならないのです!
これは大変大きな問題だと私は考えています。
昔のように、定年後はバラ色の人生だ!というような幻想はもはやありません。
そこで、労働力不足の解消と合わせて高齢者の就労推進は喫緊の課題なのです。
企業は65歳定年制度やその後の雇用継続に取り組み始めています。
国は、今後こういった企業努力に対する支援をおこなう考えのようです。
ただし、高齢の労働者にとって課題は他にもあります。
それは、雇用のミスマッチングを減らすということです!
考えてみてください。例えば定年まで百貨店の売り場で販売の仕事をしていた人がいたとします。
その方が65歳以降も同じ仕事を継続したいと思っていても、実際にその仕事に就くことができるでしょうか?
正直それは難しいことだと思います。
となると、こういった希望する仕事に就職できない人が働ける環境を整備していかなくてはいけません。
ご存知のようにハローワークでは雇用の年齢制限を設けてはいけないことになっています。
しかし、実際の現場では年齢が若い人ほど就労の機会が多いのが現実ではないでしょうか。
今の高齢者はみなさん元気でエネルギッシュな方が多いです。
その経験豊富なキャリアを生かせるよう、マッチングを支援することはとても大切なことです。
ポイントまとめ
ちょっと長くなってしまいましたが、働き方改革がどんなものかイメージしていただけたでしょうか?
簡単にまとめてみますと、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を実現するために以下のような考え方で、施策を推進していくといったところでしょうか。
◯これからかなり不足するわが国の労働力確保のため
◯今の労働環境を改善して、労働者の意欲をあげること
◯働く能力のある人を、労働の場へきちんと導くこと
◯同一賃金同一労働の実施
そして、働き方改革で一番重要なポイントは、
「ワークライフバランスの適正化」です!
みなさんがそれぞれのライフスタイルに合った働き方ができれば、労働者の増加が見込めますし、わが国の労働力低下を少しでも防ぐことができるのです。
これが、働き方改革で国が求める考え方の基本だと私は考えます。
JR博多シティが休みになることの意味
では、この度のJR博多シティの全館休館の意味はどういうものなのでしょうか。
働き方改革の観点からいえることは、一番に労働者の負担軽減ということです!
まず、JR博多シティで働くということで起こる労働に対する課題をいくつか整理してみましょう。
1.年中無休で働くために、固定の休日がほとんどない。
2.シフトの影響を受けて、希望の休日を選びにくい。
3.人が多く集まる場所なので、長期休暇を取得しにくい。
4.一般の人が休む時期に、休日を取得することが困難。
5.仕事量が多い職場と考えられるため、一人あたりの負担が大きい。
すごくわかりやすいのが、九州の交通に対する玄関口ともいえる博多駅に隣接する利便性を生かした施設であることで、年中無休で稼働しているのが当たり前のこととなっています。
そのため、上記の5つの課題がどうしても発生しやすい環境になってしまうのです。
働き方改革では、JR博多シティの運営形態を見直す必要に迫られました。
そこで、営業時間の短縮や全館一斉休館日の設定で対応を図っています。
今回の実施で、街の人たちやニュースなどではツイッターでこんな感想をお持ちのようです。
JR博多シティ。開業以来初の休館。
まぁ、場所的に年中無休のイメージだけど、サービス業も休むべき。
いまの世の中あまりにも便利になりすぎてどうかなって思う。( `・ω・) ウーム…#ひとりごと
— トロ吉 (@Jnako4241) February 19, 2019
JR博多シティ開業後初の休館日についての街頭インタビューで、おばちゃんが「働き方改革は内部でやれ、内部で人手をやりくりして店を休むな」というニュアンスのことを言ってた。
そういう、便利さに慣れきった横暴なお客様から、従業員を解放してゆっくり休んでもらう日がたまにあっても全然良い。— コロポックル (@tirolbytirol) February 19, 2019
【サワダデース】2/19
JR博多シティ初めての休館昨日からこんなに取り上げて下さってたのね^^; pic.twitter.com/98Cc2wu2bt
— えこ.。.:*ʚ🐢ɞ (@ekokamekame) February 20, 2019
私が感じたことは、
「当たり前に思っていることが、実は当たり前ではない!」ということです!
博多駅前にある便利な巨大施設は、年中無休でやっているのが当たり前だろう!って感覚は、どこか間違っているように思います。
そこで働く方は、何か大切なものを犠牲にしても、私たちのために頑張って働いてくださっているのだと思います。
いやなら辞めたらってご意見もきっとあると思いますが、働く場所をそんな簡単に失うことは絶対にできません!
私たちは、もっと色々なことに感謝すべきなのかもしれません。
今後、この休館日を継続するかどうかは未定らしいのですが、年間に何度かあってもいいのではないでしょうか?
というよりも、わが国の働き方に対する意識改革はすでに始まっているのですから、今後もこの流れは変わらないのではないかと思います。
終わりに
私たち日本人の高度経済発展を支えてきたのは、モーレツに働く私たちの両親世代の方々のおかげでした。
それが、少子高齢化など私たちを取り巻く環境が変化してきたため、これから先の働き方は今までのようにいかなくなりました。
実際は、生きていくために国民全員が必死になって働くのが本来の姿です。
この働き方改革は、それをやめろという話ではなく、ワークライフバランスをきちんと取りながら、減る一方の労働力を確保して、国民全員で国を支えていきましょうということだと思います。
たまたま目にしたJR博多シティの全館休館の話題ですが、私たちの働くことへの意識改革のヒントになりそうなので、今回はこのお話をしてきました。
私も、まだまだ働ける世代の人間ですので、しっかり自分でできる労働力を提供して、世の中のお役に立てれば幸いだと思っています。